LEDパネル照明
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 テールライトをLEDに置き換えたことで、テールライト点灯時の消費電力を劇的に抑えることができました。
 この際だから可能な限り灯火類をLEDに置き換えて低消費電力化して、替わりに前から欲しかったウインカーポジション灯(ウインカー灯を車幅灯と兼用する。)を実装してみることにします。

 低消費電力化の第一歩として、夜間にメーターパネルを照らす照明&インジケータ灯をLEDしてしまうことにしました。
現状調査2007.08.03作成
T10型ウエッジ球  VFR750F(RC36)のメーターパネルの照明は、T10型とよばれるウエッジ球を多数用いている事がわかりました。
 しかも、ゴム製のソケットに刺さっているだけで、ソケット自体もゴムの伸張力を利用してメーターパネル裏側から差し込んでいるだけなのです。

 したがって、ソケットに刺さる形状だけ合致させ、電球のフリをするLEDを取り付ければそのままリプレースが可能なのです。

 ちなみに、VFR750F(RC36)には、これだけのT10ウエッジ球を使用しています。
使用部位 電球種類 ワット数 フィルタ色 数量
パネル照明 白色T10ウエッジ球 1.7W なし 6
ウインカーインジケータ 白色T10ウエッジ球 3.4W 橙色 2
オイル圧力インジケータ 白色T10ウエッジ球 3.4W 赤色 1
ニュートラルインジケータ 白色T10ウエッジ球 3.4W 緑色 1
ハイビームインジケータ 白色T10ウエッジ球 3.4W 青色 1
サイドスタンドインジケータ 白色T10ウエッジ球 3.4W 橙色 1
物理設計2007.09.01作成
物理設計  ソケット形状をT10ウエッジ球と合わせなければならないため、ある程度物理的な形は決まってしまいます。
 ズバリ幅が10mmであることなんです。

 ここは単純にユニバーサル基板を使用して、要求される幅サイズに切り取って使用することにします。
 また、接続端子は要らなくなったリード線で代用することにします。

 問題なのは『長さ』。光があまり拡散しないLEDの特性から、またフィルターを通過すると光量が減衰してしまうため、次の仮説を立てることにしました。

1・インジケータ用ではその長さを長くして、フィルターに全光量を通す
2・パネル照明用はその長さを短くして、なるべく広範囲に光を拡散させる

というものです。

 まずは、一つ製作してみて実機テストをしてみないと、長さも適切なのか判らないし、明るさも実用上問題ないのかの判断ができません。
論理設計2007.10.14作成
論理設計  製作すべき回路は単純です。
 というか、あの小さい面積の中に手作業で組み込むには、このぐらいが限界です。

 まずは発光ダイオード(LED)。これは平型タイプで超高輝度のLEDを手配する予定です。
 どれくらい明るいのかを試してみたい好奇心もあるので、橙色タイプを選定し、ウインカーインジケータを置き換える2つを先行で試作してみます。

 そして、そのLEDに流れる電流を調節する定電流ダイオード(CRD)。今回発光ダイオードには45mAを流すため、3個並列に使用します。

 そして、前回のテールライトLED設計時にはすっかり忘れていたノイズ対策として、コンデンサを接続しておきます。(実装面積の関係でおそらくツェナーダイオードは実装できそうにないので、コンデンサだけで勝負してみます。この辺りも先行試作版での評価ポイントとなります。)
 さらに、逆接続防止用として、整流ダイオードを接続しておきます。発光ダイオードと定電流ダイオードは逆電流に非常に弱いため、この対策をしておかないと一瞬で燃え尽きてしまうことになります。
LED選定2007.11.10作成
LED選定  今回の製作の際には、使用するLEDにもこだわってみました。
 T10ウエッジ球のリプレースなので『サイズが同一でないといけない』という制約をクリアするために、使用可能なLED素子は一つだけとなります。よって一つだけで十二分な光量が必要なのです。

 昔ならば"トランジスタ技術"誌でも読み漁らないといけなかったのですが、今はインターネットで検索すれば必要十分な情報が入ってきます。その結果、次の二つのLEDを選定することにしました。
1・Lumileds社製 超高輝度LED(橙色) SuperFlux HPWT-ML00-E4000
2・日亜化学社製 超高輝度LED(白色) HighFlux NSPWR70AS-b6

なぜ二つか?というと・・・
A・LED単体で必要十二分な視認性能が得られるかが不明なこと。
B・光がフィルターを越える際に減衰する程度がわからないこと。
を確認するためです。 まずは『橙色フィルタのウインカーインジケータに橙色発光するLEDを使用すると減衰量は少ないと想定されるため、LED単体の性能を確かめられる』のです。(橙色のサイドスタンドインジケータと比較できることもこの色を選んだポイントです。)
 次に、『白色LEDを使用し、各色のフィルタを通過させて、減衰後の光量が実用に耐えうるかを確認したい』のです。

 とにかく『やってみなければ解らない』だらけなのです。
実装2007.12.01作成
実装  さて、設計が終われば後はそれを信じて、作り込むのみです。

 ユニバーサル基板にカッターで傷を付け、万力でポキッと折ると必要なサイズのプリント板が出来上がります。(きっとそのうち量産するので、沢山作っておきます。)

 ここに四つ足のLEDを垂直に仮接着し、足をハンダで止めてしまいます。後は定電流ダイオード、ノイズ対策コンデンサ、整流ダイオードを論理設計通りに接続します(左の写真ではまだコンデンサが付いていません・・・)。設置面積があまりに小さいので、今回は裏面にも部品を配置します。

 T10型ウエッジコネクタとの接続は、ダイオードの部品の足をそのまま引き伸ばして使用しています。

 最後に、部品全体の耐震性能の確保と、防水性能を確保するために、全体を弾性接着剤で密封して完成です。


 電流値を測定すると、43.8mAとなりました。設計では45mAですから素子の誤差範囲内に納まりました。
ウインカーインジケータ・実機テスト2007.12.29作成
ウインカーインジケータ・実機テスト  さっそくウインカーインジケータを電球からLEDに変更してみました。

 電球の場合は点灯・消灯時に若干タイムラグがあるのですが、LEDの場合は応答性能が良いのでシャープに点灯・消灯します。
 そして、一番気になる輝度ですが、左の写真を一目瞭然。LEDの方がはっきりと視認できます

 発光色とフィルタ色が同一の場合のようにほとんど減衰しない場合は、視認性に全く問題が無いことが解りました。しばらく距離を乗ってみて、熱がこもる状況での運用、振動でコネクタが緩んだりしないか検証も行ないましたが、いずれも問題なし。


 絶好調です。
インジケータ量産仕様2008.01.10作成
量産型倫理設計  橙色のウインカーインジケータがうまくいったので、次に白色LEDを使用したインジケータの製作です。
 橙色LEDとの特性の違いにより要求される順方向電流が異なるため、定電流ダイオードの数のみ変更しました。

 その他、橙色ウインカーインジケータに改良点が見つからなかった(それだけデキが良かった)ため、長さ等はそのままで製作してみることにします。
インジケータ量産完了2008.01.21作成
インジケータ量産完成  ベースとなる短冊基板は前回大量に製作しているので、ひたすら部品をハンダ付けするのみです。

 しかも部品点数も減っているため前回より作業がやりやすい!
 表面に定電流ダイオード2つ逆流阻止ダイオード、裏面にはノイズ対策コンデンサ(青色の部品)を配置します。


 最後に防水性能を確保するとともに、耐震性能を向上させるため、端子部分以外を弾性接着剤で密封するもの、先行テスト版と同様です。


 コレならば電源電圧が変化しても明るさが一定に保たれるため、ウインカーの点滅と同期してニュートラルインジケータが暗くなってしまうような安っぽさが無くなります
インジケータ・フルLED化完了2008.02.04作成
インジケータ・フルLED化完了  全てのインジケータをLEDに変更しました。
 写真写りはイマイチですが、フィルタによる減衰など全く問題にならないほど視認性に優れています昼間炎天下でも点灯していることがはっきりと識別できます。

 また、オイル圧力インジケータは、バイクのキーを捻った瞬間から点灯するため、最大のノイズ源と想定されるセルモーターを回している期間にも確実に点灯しています。
 この時に焼損してはダメなのです。
 おそるおそるセルモーターを回すと・・・、インジケータは生きています


 そしてエンジンを止めると再び真っ赤に点灯しました。この後数回繰り返しても、ノイズによる影響は見られませんでした。どうやらコチラも大成功のようです。


 ちなみに、白色LEDを使用したLEDインジケータを一つ余計に作っていたので、試しにパネル照明灯も一つ交換してみました。
 すると・・・『明るすぎる』し、『照射範囲がとても狭いためムラがある』事がわかりました。
パネル照明量産完了2008.02.13作成
パネル照明量産完了  当初の予想通りLEDとパネル面が近すぎると、狭い範囲しか照射しないのと、超高輝度LEDの性能の相互効果により、パネル面の光度にかなりのムラが生じてしまいます。
 そこで、パネル照明用LEDは、インジケーター用LEDよりも長さを短くして照射範囲を広げると共に、順方向電流値を絞って使用する(標準20mAを10mAで使用)ことでムラを抑える作戦としました。
 (あまりに明るくて目が眩んだら意味無いし。)

 しかし、どれだけ短くすればよいのかといったデータは全く無く、これもまた『やってみなければ解らない』のです。
 そこで、手作業の限界まで短くして製作してみることにしました。
パネル照明・フルLED化完了2008.02.27作成
パネル照明・フルLED化  換装は完了しました・・・・。

 しか〜し、電流値を絞りすぎたみたいで物凄く暗くなってしまいました。
 中央にあるタコメーターの、レッドゾーン辺り(2時付近)が明るくて、9時付近が暗くなっています。
 本当はその暗くなっている近くにもLEDが設置してあるのですが、うまく配光されていないようです。

 オイルインジケータ(赤色)やニュートラルインジケータ(緑色)とLED自体は同じ物を使用しているので、性能上の限界ではなく、単純に設計が甘かっただけです。
 あんまり明るいと幻惑してしまうだろうという予測が裏目に出た形です。


 また、そのうちに電流を増やしたバージョンを造ってみようと思いますが、この明るさでも別に不自由なく使えているのでしばらくはこのまま行きます。

Last updated 2008.02.27